今年の英単語 2017

日本最大級のオンライン英和辞典「Weblio英和・和英辞典」が
年間アクセスデータをもとに選出する「Weblio今年の英単語」
2017年は「fact」に決定いたしました。

▼「Weblio今年の英単語」とは
「Weblio今年の英単語」は、「Weblio英和・和英辞典」の1年間の利用状況に基づき、その年の象徴といえる英単語・英語表現を選出する企画です。今年は「年間総合検索数」と「前日比の検索数急上昇(スパイク)度」を主な指標とし、世間での話題度なども加味しつつ、単語を1つ選出いたしました。また、最後まで候補として残った注目の単語9語も併せてご紹介いたします。


■調査対象メディア :「Weblio英和・和英辞典
■調査方法:調査対象メディアのアクセスログを解析
■調査期間期間:2017年1月1日(日)~11月30日(木)

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今年の英単語2017

FACT

事実

「Weblio今年の英単語2017」は「fact」です。「事実」、あるいは「現実」「真相」などとも訳される名詞です。fact はもともと多く検索される基礎英単語ですが、今年は2月に突出した検索数の急増を見せた他、世間のニュースと連動した検索数の増加が見られました。

「fact」が今年に入って注目を集めた背景には、前年から話題に上った「fake news」(フェイクニュース)というキーワードへの理解が欠かせません。fake news は「虚偽の報道」を意味し、2017年1月にドナルド・トランプ現大統領がメディアを名指しで「You are fake news.」(あなたがたは虚ニュースだ)と批判するなどして大きな注目を集めたキーワードです。

ソーシャルメディアの時代とも言える現代は、誰でも情報を発信できます。裏付けのないウワサが真実らしく拡散する場合もあります。大手ニュースメディアさえ、印象操作のために情報を意図的に曲げて報じているのではないかという疑惑がかけられます。今の世の中はフェイクニュースによって情報の信頼性が揺らぎつつある時代と言えるでしょう。

このような背景を考えると「今年の英単語 は fake news が妥当なのでは?」と言いたくなるところですが、実際のところ「fake news」は「辞書で引く(調べる)」という行動との関連がほぼ見られず、「Weblio英和・和英辞典」上で検索数が急増することも特にありませんでした。これは「fake」単独でも同様です。

これに対して「fact」は「Weblio英和・和英辞典」上で何度か際だった検索数の急増が見られました。とりわけ、2月に「オルタナティブファクト」および「ファクトチェック」という2つのキーワードがニュース上で多く見られるようになった際には、PV数が一気に数千ほど跳ね上がっています。こうした状況を踏まえて、Weblioでは今年の英単語2017に「fact」を選出しました。

フェイクニュースのフェイクは、要するに嘘のことだと分かる。では、フェイクニュースに対して、本来伝えられるべきファクトってなんだ?そんな問いかけがうかがえそうな気がします。

「fact」の検索数が急上昇したきっかけの一つといえる「オルタナティブファクト」(alternative fact)は、日本語では「代替的事実」などとも訳される語です。アメリカ政府の高官が、大統領就任式の聴衆人数に関する発表は嘘でないか?との見解に対して「あれはオルタナティブファクトだ」と弁明したことで、大きな批判にさらされることになりました。

「ファクトチェック」(fact check)は、報道の真偽を第三者の立場から検証する取り組みのことです。ファクトチェック自体は特に目新しい言葉というわけではありませんが、フェイクニュースの問題を受けてその重要性が再認識・再注目されているようです。

2017年半ばには、日本でも「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)が発足し、誤情報の拡散を防止する機構として活動を始めています。検索エンジン最大手グーグルは国際ファクトチェック・ネットワーク(IFCN)と提携してファクトチェックの取り組みを推進していくと発表しています。

現代は「ポスト真実(post-truth)の時代」と言われています。事実や真実の価値は今や絶対的なものではなくなりつつあるのかもしれません。fact の語に多くの関心が集まった今年は、多くの人が「事実とは何か」「真実とは何か」を見つめ直し始めた年だったと言えるのかもしれません。

今年の英単語2017にノミネートされた9語

FABULOUS

fabulous は「伝説の」「ものすごい」といった意味の形容詞。タレント「叶姉妹」の妹・美香さんが「ファビュラスな姉」という表現をしばしば用い、そのたびに検索数が爆増しました。叶姉妹は今年はコスプレやコミケといったオタク系の活動に参加して注目を集めましたが、コスプレは完成度が高すぎ、コミケでの振る舞いは模範的と、新たな伝説を築いたのでした。

CELEBRATE

celebrate は「祝う」「祝典を挙げる」という意味の動詞です。歌手・安室奈美恵さんの代表曲であり結婚式の定番ソングでもある「CAN YOU CELEBRATE?」を通じて知ったという人も多いでしょう。今年9月に安室さんの引退宣言が報じられた翌日、のべ1万PVを超える検索数の急増が見られました。この日だけで「celebrate」の通年の検索数のほぼ3割に達しています。

PARTIAL

partial は主に「部分的な」と訳される語です。7月に民間企業・インターステラテクノロジズが民間初のロケット打ち上げ実験を行った結果を、日本国内では「宇宙には届かず」という論調が主でしたが、英語圏の多くのメディアはこれを「partial success」(部分的に成功)と前向きに表現していました。この観点の違いに目から鱗が落ちる思いをした人は多かったようです。

CARRIER

carrier は「運搬人」や「運送船」を表す名詞です。軍事用語では「航空母艦」を表す英単語でもあります。北朝鮮の動向が各国の注意を引く中、海上でのミサイル迎撃に出動する「空母(carrier)」に注目が集まりました。2月半ば、2017年では初となる北朝鮮によるミサイル発射実験が行われた際、carrierのWeblioでの検索数はグンと伸びました。

PRECIOUS

precious は「貴重な」「大切な」という意味の語です。今年は男性アイドルグループ・Hey! Say! JUMP の新曲「Precious Girl」を発表したタイミングで検索数の急増が見られました。precious は商品名やイベント名などにも用いられやすい単語なので、普段から一定の検索数があります。ネットスラングで「尊い…」という表現が流行ったという要因もあるかもしれません。

BILLION

billion は数の単位における「10億桁」を意味します。Weblio英和・和英辞典で10月上旬にアメリカのヤフー(Yahoo! Inc.)でユーザー約30億人分のアカウント情報の流出があったと報じられた際に検索数が急増しました。芸人・ブルゾンちえみ with B の持ちネタ「35億」との関係は特になさそうではありますが、無関係とも断言しきれない感があります。

FAREWELL

farewellは「別れ」や「別れのあいさつ」を表す名詞です。今年1月、アメリカのオバマ前大統領が退陣した際に行った「farewell address(辞任演説)」のタイミングで、Weblioでの検索数が急増しました。米大統領の交代は、日本でも大きく報じられたニュース。多くの日本人がオバマ前大統領の残す言葉に興味を持っていたことが伺えます。

SURMISE

surmise は一般的には「推測する」のように訳される語です。今年は「忖度」の英訳語として少なからず注目を集めました。国内マスメディアが盛んに報じた「モリカケ問題(森友・加計学園問題)」を通じて「忖度」という言葉に注目が集まる中、3月の森友学園に絡む記者会見の中で外国人記者が忖度の英訳について質問したこときっかけで、英訳語「surmise」の検索数が急増しました。

FAKE

fake は「偽の」あるいは「偽造する」という意味の語です。今年は特に「フェイクニュース」の語に関連して多く注目されました。もともと多く検索されている基礎単語であり、世間の動向に応じて検索数が急増するという動きは特にありませんでしたが、2017年を振り返る上では外せない重要単語のひとつということで、今年の英単語2017の有力候補ではありました。