まえがき・凡例・付録 :研究社 新英和・和英中辞典
この「凡例」は、研究社 新英和・和英中辞典の凡例 に基づいて作成されています。9 子音 (consonant)
- 1. /p/ (無声)
2. /b/ (有声)
/p/ は唇を閉じて, 息を止め, 急に「プッ」と息で唇を破裂させて出す音. このとき息でなく「ブッ」と声を出せば /b/ の音になる. つまり /p/ は無声音, /b/ は有声音である. 日本語の「パ行」と「バ行」の子音である.
pen /pn/ ペン
cup /kp/ カップ
happen /hp()n/ 起こる
big /bg/ 大きい
rob /rb|rb/ 強奪する
rubber /rb|‐b/ ゴム
3. /t/ (無声)
4. /d/ (有声)
/t/ は舌の先を, 上の歯の内側と歯茎のあたりにつけて息を止め, 急に息で「トゥ」と強く破裂するように出す音. このとき「ドゥ」と声を出せば /d/ の音になる. つまり /t/ は無声音, /d/ は有声音である.
tea /t/ 茶
meet /mt/ 会う
butter /b|‐t/ バター
day /d/ 日中
sad /sd/ 悲しい
ladder /ld|‐d/ はしご
【注意】 city /si/ 都市, Saturday /sd/ 土曜日のように // となっているときには米音ではしばしば「ラ行」の音のように発音されることを示す. 例えば city は「スィリー」, Saturday は「サラデイ」のように聞こえることがある.
5. /k/ (無声)
6. /g/ (有声)
舌の後部を上げ, 上あごの奥につけて息を止め, 急に舌を離して「クッ」と息を破裂させれば /k/, 「グッ」と声を出せば /g/ の音が出る. 日本語の「カ行」と「ガ行」の子音.
key /k/ 鍵(かぎ)
take /tk/ 取る
bacon /bk()n/ ベーコン
gate /gt/ 門
beggar /bg|‐g/ こじき
leg /lg/ 脚(あし)
7. /f/ (無声)
8. /v/ (有声)
/f/ は下唇を上の歯に当て, そのすき間から強く「フ」と息を出す音. このとき息でなく「ヴ」と声を出せば /v/ の音になる.
face /fs/ 顔
leaf /lf/ 葉
effect /fkt/ 結果
vote /vt|vt/ 投票
curve /kv|kv/ 曲線
heavy /hvi/ 重い
9. // (無声)
10. // (有声)
// は舌の先を上の前歯の裏に軽く当て, そのすき間から「ス」と息を出す音で, このとき「ズ」と声を出せば // の音になる.
three /r/ 3
mouth /m/ 口
nothing /n/ 何も…ない
this /s/ これ
breathe /br/ 息をする
leather /l|‐/ 革
11. /s/ (無声)
12. /z/ (有声)
/s/ は舌の先を上の前歯の裏に近づけ, そのすき間から「ス」と息を出すときの音. このとき「ズ」と声を出せば /z/ の音になる.
sun /sn/ 太陽
base /bs/ 基部
zoo /z/ 動物園
noise /nz/ 音
music /mjzk/ 音楽
13. // (無声)
14. // (有声)
// は舌の先を歯茎につけないで, 舌と歯茎の間から「シ」と息で動物を追うようなつもりで出す音. このとき「ジ」と声を出せば // の音になる. 本来の英語の単語では // で始まったり終わったりする語はない.
ship /p/ 船
dish /d/ 大皿
station /stn/ 駅
pleasure /pl|‐/ 楽しみ
occasion /kn/ 時
15. /h/ (無声)
のどの奥から出す息の音で, 例えば「ハー」と息を吹きかけて鏡を曇らせるときなどに出る音である. この音は英語では語の終わりにはこない.
hat /ht/ 帽子
heat /ht/ 熱さ
behind /bhnd/ 後ろに
16. /ts/ (無声)
17. /dz/ (有声)
/ts/ は舌先をほぼ /t/ の位置につけ,「ツ」の音を息で出す音. このとき「ヅ」と声を出せば /dz/ の音となる. 記号は 2 字だが, 1 つの音だと考えてよい. /ts/ も /dz/ も英語では語のはじめにはこない.
cats /kts/ 猫
states /stts/ 国
adds /dz/ 加える
reads /rdz/ 読む
18. /tr/ (無声)
19. /dr/ (有声)
/tr/ は舌を /t/ の位置につけ, 続けて /r/ の音を息で出す音. このとき 最初から 声を出せば /dr/ の音となる. /t/ と /r/ および /d/ と /r/ とを離さずに 1 つの音のつもりで出す. /tr/ も /dr/ も語の終わりにはこない.
tree /tr/ 木
try /tr/ 試みる
patrol /ptrl|‐trl/ 巡察
drink /drk/ 飲む
draw /dr/ 引く
address /drs/ あて名
20. /t/ (無声)
21. /d/ (有声)
/t/ は舌が /t/ よりも少し奥の位置で上の歯茎に触れ,「チ」に近い音を息で出す音. このとき「ヂ」と声を出せば /d/ の音になる. 記号は 2 字だが, 1 つの音だと考えてよい.
cheap /tp/ 安い
match /mt/ マッチ
teacher /tt|‐t/ 教師
joy /d/ 喜び
bridge /brd/ 橋
region /rdn/ 地方
22. /m/ (有声)
/p/ や /b/ と同様に, 唇を閉じて「ム」という声を鼻から出す音である. なお ⇒ 11 (l).
man /mn/ 男
name /nm/ 名
summer /sm|‐m/ 夏
23. /n/ (有声)
/t/ や /d/ と同様に, 舌の先を上の歯茎につけて「ヌ」という声を鼻から出す音. 単語の最後にきたときは「ン」とせずに軽く「ヌ」と言うつもりで発音する. なお ⇒ 11 (2).
night /nt/ 夜
run /rn/ 走る
manner /mn|‐n/ 方法
24. // (有声)
/k/ や /g/ と同様に, 舌の後部を上あごの奥につけて声が口へ出ないようにし, 鼻の方へ声を通して発音する. この音は語のはじめにはこない.
ink /k/ インク
long /l|l/ 長い
singer /s|‐/ 歌手
finger /fg|‐g/ 指
25. /l/ (有声)
舌の先を上の歯茎につけて, 舌の両側から「ウ」と「ル」を同時に出すような音. 次の /r/ とはっきり区別する必要がある. なお ⇒ 11 (3).
leaf /lf/ 葉
color /kl|‐l/ 色
milk /mlk/ 乳
bell /bl/ 鐘
26. /r/ (有声)
《米》 では 5.7 の母音 // のような舌のかまえで, 《英》 では舌の先を上の歯茎に近づけて奥へ丸めるようにして, そのすき間から「ル」と声を出し, すぐに次の母音へと移る. この音は語の終わりにはこない.
red /rd/ 赤
rose /rz|rz/ バラ
marry /mri/ 結婚する
27. /j/ (有声)
// の音からすぐに次の母音へ移るときの音. この音は語の終わりにはこない.
yes /js/ はい
young /j/ 若い
beyond /b(j)nd|‐(j)nd/ …の向こうに
28. /w/ (有声)
// の音からすぐに次の母音へ移るときの音. 唇をよく丸める必要がある. この音は語の終わりにはこない.
way /w/ 道路
week /wk/ 週
work /wk|wk/ 仕事
awake /wk/ 起こす
29. // (無声)
ドイツ語の ich //, 日本語の「ヒ」の子音.
Reich /r/ ドイツ国
30. /x/ (無声)
ドイツ語の ach /x/ の子音. 日本語の「ハ, ヘ, ホ」を強く発音したときにも聞かれる.
loch /lx|lx/ 《スコ》 湖
Bach /bx/ バッハ
10 音節 (syllable)
- 前後に多少とも切れ目が感じられる発音上の単位を音節という. 例えば日本語の「からだ」は /k‐r‐d/ という 3音節の語であり, また英語の lemon (レモン) は /lm‐n/ という 2 音節, envelope (封筒) は /n‐v‐lp/ という 3 音節の語である. 英語の音節はすべて第一アクセント (primary accent), 第二アクセント (secondary accent), または弱アクセント (weak accent) のどれかを受ける.
11 音節主音的子音
- 音節の中心となる音を音節主音 (syllabic) という. 音節の中心となるものは普通は母音であるが, 次のような子音の組み合わせが語の終わりにくるか, その後にさらに子音が続くときには, /m/, /n/, /l/ は子音であっても音節主音となる. このような子音を音節主音的子音 (syllabic consonant) という.
(1) 音節主音的 /m/
/zm/ prism /przm/ プリズム
/m/ rhythm /rm/ リズム
(2) 音節主音的 /n/
/tn/ button /btn/ ボタン
/dn/ sudden /sdn/ 突然の
/sn/ lesson /lsn/ 学課
/zn/ season /szn/ 季節
(3) 音節主音的 /l/
/pl/ people /ppl/ 人々
/bl/ table /tbl/ テーブル
/tl/ bottle /bl|btl/ 瓶
/dl/ idle /dl/ 仕事のない
/kl/ circle /skl|s‐/ 円
/gl/ eagle /gl/ ワシ
/fl/ shuffle /fl/ 引きずる
/sl/ wrestle /rsl/ 組み打ちする
/zl/ drizzle /drzl/ 細雨
/nl/ journal /dnl|d‐/ 日誌
12 アクセント (accent)
- (1) 単語のなかの各音節が発音されるときに受ける強さの度合いをいう. 強勢 (stress) ということもある. 英語のアクセントには 3 段階があり, 強いほうから第一アクセント (primary accent) または第一強勢 (primary stress), 次に第二アクセント (secondary accent) または第二強勢 (secondary stress), そして弱アクセント (weak accent) または弱強勢 (weak stress) という. 例えば separate (分ける) は /sprt/ と発音されるが, 最初の音節がいちばん強く発音され, 最後の音節が次に強く発音され, 中間の音節がいちばん弱く発音される. このようなとき最初の音節には第一アクセント (// で表わす) があり, 最後の音節には第二アクセント(// で表わす)があり, 中間の音節には弱アクセントがあるという. 弱アクセントには普通は記号をつけない. 1 音節の語, 例えば cat や desk などが単独に発音されたときには /kt/ や /dsk/ のように常に第一アクセントを受ける.
(2) 単語の場合と同様に, 句の場合にもある語は強く, ある語は弱く発音される. 例えば event の項の成句 at ll evnts (いずれにしても) では all が最も強く, events はそれよりやや弱く, at が最も弱く発音される.
13 アクセントの移動
- fifteen や Japanese, sentimental などは単独に発音するときには fften, Jpanse, sntimntal というアクセントであるが, 直後に第一アクセントが続くと fften mn, Jpanse bys, sntimntal jurney のように第一アクセントがその前の第二アクセントがある音節へ移動することがある. また fll‐grwn (十分に成長した) のように両方に第一アクセントがある語も, 直後に第一アクセントが続くと a fll‐grwn lon のように後ろの第一アクセントが弱くなることがある. このようなときこの辞書ではそれぞれ /fftn←/, /dpnz←/, /snmnl←/ のように /←/ を用いて示している.
14 文アクセント (sentence accent)
- We asked where they came from. (私たちは彼らがどこから来たのかと尋ねた) という英文を構成する一つ一つの単語は, 単独ではそれぞれ we /w/, asked /skt/, where /(h)w/, they //, came /km/, from /frm/ と発音される. ところが実際の英語では上の文全体は /w skt (h)w km frm/ とは発音されないで, /wi skt (h)w e km frm/ と発音される. つまり英語では文中の単語はすべて同じ強さのアクセントを受けるのではなくて, ある語は強いアクセント(第一アクセント)を受け, ある語は弱いアクセントを受け, またある語は中間の強さのアクセント(第二アクセント)を受ける. 文中のある語が受けるアクセントを文アクセント (sentence accent) とよぶ. 文アクセントを受ける語は意味のはっきりした重要な語で, 文アクセントを受けない語は日本語の「てにをは」のように, それ自身の意味があいまいで, 従って文中では比較的重要でない語である. この辞書で some /s()m/, above /bv/ のようにアクセントなし, または第二アクセントをつけて示されている語は文中ではごく弱いかまたはやや弱く発音される語である.
(a) 文アクセントを受ける語
名詞, 形容詞, 数詞, 指示代名詞, 疑問代名詞, 強調用法の再帰代名詞, 疑問副詞, 動詞, 副詞, 間投詞
(b) 文アクセントを受けない語
冠詞, 人称代名詞, 再帰用法の再帰代名詞, 不定代名詞, 関係代名詞, 関係副詞, 助動詞, 前置詞, 接続詞
15 強形 (strong form) と弱形 (weak form)
- 文中では普通は文アクセントを受けないで弱く発音される語, つまり冠詞, 人称代名詞, 不定代名詞, 関係代名詞, 関係副詞, 助動詞, 前置詞, 接続詞などでは, 強く発音された場合と弱く発音された場合とでは母音(および子音)で違うことがある. そのようなとき, 前者の形を強形 (strong form) とよび, 後者の形を弱形 (weak form) とよぶ. 強形と弱形とはこの辞書では have2 /(弱形) hv, ()v; (強形) hv/ のように示す.
16 イントネーション (intonation)
- ことばを話すときの声の高さの変化をイントネーションという. このうち後になるほど音調が低くなってゆく場合を下降調, 反対に高くなる場合を上昇調という. イントネーションは文中のある音節(普通は第一アクセントを受ける最後の音節)で急に上がったり下がったりする. この部分をイントネーションの核 (nucleus) とよび, 以下の例文では太字で示す.
17 下降調 (falling intonation) の用法
- 下降調は平叙文, 命令文, 感嘆文のほか疑問詞で始まる疑問文にも用いる.
(1) 平叙文: The wather was fne. 天気はすばらしかった / There's nthing to be dne abut it. それについてはどうしようもない.
(2) 命令文: Sht the dor. ドアを閉めなさい / Ftch me my vercoat. 私のオーバーを持ってきてくれ.
(3) 感嘆文: Wht a cld dy! 何て寒い日なのだろう / Hw fst tht cr rns! あの車は何て速く走るのだろう.
(4) 疑問詞で始まる疑問文: Wh cme ysterday? きのうはだれが来たのか / Wht can I d for you? 何かご用でしょうか.
18 上昇調 (rising intonation) の用法
- 上昇調は yes か no の答えを求める疑問文に最も普通に用いられる. このほか柔らかな依頼を表わすときや, さらに形は平叙文でも内容は疑問である場合や, 断定的な言い方でなく, 言外の意味を含むいろいろな感情を表わすのに用いられる.
(1) yes か no の答えを求める疑問文: Do you knw Miss Blck? あなたはブラックさんをご存じですか / Is it nteresting? おもしろいですか.
(2) 丁寧なまたは柔らかい感じの依頼や勧誘: May I plase se your phne? 電話をお借りできますでしょうか / Wn't you hve some mre cffee? コーヒーをもう少々いかがですか / Will you pen the wndow? 窓を開けてくれませんか.
(3) 形は平叙文だが内容的には疑問文のとき: You are tred? 疲れたのですか / N one knws the rason? だれも理由はわからないのですか.
(4) 断定的でなく柔らかな口調の平叙文: This is mne. これは私のですけど / I'd like my cffee ht. 私はコーヒーは熱いのがいいのですが.
(5) 呼びかけの語で: Are you cming, Dd? おとうさん, 来るの / Wn't you hlp, fficer? お巡りさん, 手を貸してくれませんか.
19 注意すべきイントネーション
- (1) 選択疑問文
「A か B か」というような問いの文では次のようなイントネーションとなる.
Wuld you lke cffee or ta? コーヒーとお茶とどちらがよいですか.
which で始まる文も同様.
Whch is lrger, the arth or the mon? 地球と月とどちらが大きいか.
(2) 付加疑問文
例えば, You can drive a car, can't you? の文尾の can't you? は, 意味によって次のように上昇調にも下降調にもなる.
(i) You can drve a cr, cn't you? あなたは車の運転ができるのですか [質問調].
(ii) You can drve a cr, cn't you? あなたは車の運転ができますね [当然 “yes" の答えを予期するとき].
(i) の上昇調は疑問文に近いことを示し, (ii) の下降調は確認を表わす.