TOEICを受験する際に、どの参考書や問題集を買えばよいか悩む人は多いでしょう。また、問題集だけではなく、TOEICに頻出する英単語から覚えるのがよいか、TOEICによく出る文法から学ぶのがよいのかについても、大変迷うところです。

圧倒的に堅実で効率的なTOEICの学習方法について、結論から先に言うと、出題頻度の高い過去問を何度も解くことです。

なぜなら、TOEICは、「知識・教養としての英語ではなく、オフィスや日常生活における英語によるコミュニケーション能力を幅広く測定する」ことを目的として作られており、日本人が学校教育で学ぶ、英語の授業の延長線上にはないためです。

逆に言えば、英語圏に留学して多くのコミュニケーションを身に着けるのと同じ要領で、過去に出題されたのと同じような問題を解けば解くほど、TOEICのスコアがあがることになります。

しかしながら、TOEICの問題は試験以外では一般公開されておらず、過去問も手に入れることができません。そこで、どのようにして出題頻度の高い問題を解くことができるかについて、これから解説していきたいと思います。

    目次
  1. TOEICの問題構成や出題形式とは?
  2. 「Listening & Reading Test」の出題形式
  3. 「Speaking & Writing Tests」の出題形式
  4. 過去問や過去問題集の入手方法
  5. 模試は受けられるのか?
  6. 問題集をやりこむ意義は?
  7. 問題集は書籍がよいかWebがよいか

TOEICの問題構成や出題形式とは?

TOEICの頻出問題を知る前に、まずは、基本として、TOEICの問題構成や出題形式を十分に知っておく必要があります。出題の形式を知ることは、TOEICの学習においては特に重要にります。

TOEICテストには「Listening & Reading Test」と「Speaking & Writing Tests」、そして「Speaking Test」の3つのテストがあります。これに2つのテストから成る初・中級者向けのTOEIC Bridgeテストを加えた5つのテストの総称としてTOEIC Programと呼ばれています。

一般的にTOEICといわれているものは、これらのTOEICテストを指すことが多く、中でも「Listening & Reading Test」は、2015年時点で年間受験者数が250万人(TOEIC公式サイト発表)を超えるポピュラーなテストです。

スコアは10〜990と、全テストの中でもっとも幅広い点数による評価が可能なため、ビジネスから日常生活までさまざまな英語力を測ることができます。つまり、「Listening & Reading Test」は、英語を使うやりとりに必要な能力を示すうえで信頼性が高いといえるでしょう。

他方で、ビジネスでも日常生活でも実際に重要性を持つのは英会話です。そこで、高い英語力を証明できるテストとして「Speaking & Writing Tests」も注目されています。

つまり、TOEICテストの「Listening & Reading Test」と「Speaking & Writing Tests」を受験しておけば、聞くことと読むこと、話すことと書くことの基本的な4つを判定することが可能です。

これらの状況を踏まえ、ここからは、もっともポピュラーな「Listening & Reading Test」と「Speaking & Writing Tests」の問題構成や出題形式について説明していきます。

「Listening & Reading Test」の出題形式

「Listening & Reading Test」の回答形式は筆記用具を用いたマークシート方式です。このため、機器類の不具合などによるトラブルの心配は少ないといえるでしょう。また、慣れないパソコンを操作することで解答に遅れが出るといった不安も回避できます。

「Listening & Reading Test」の問題構成はリスニングとリーディングがそれぞれ100問ずつ、合計200問が出題されます。制限時間は合計2時間で、リスニングは45分、リーディングは75分という内訳で、全て英語のみで構成されています。具体的なテスト問題の構成は、Part1〜Part7に分けられており、Part1〜Part4までがリスニング、Part5以降がリーディングです。

リスニングは会話やナレーションを聞き、その解答を選択するという方法で進めていきます。リスニングは問題文が一切印刷されておらず、英語での会話やナレーションを注意深く聞いておかなければなりません。では、リスニングにはどのような問題が出題されるのか見ていきましょう。

Part1では6問の写真描写問題が出されます。具体的な例としては、写真についての説明文を聞き、どの写真を描写しているかを解答していきます。 Part2で出されるのは25問の応答問題です。Part3では39問の会話問題が、そしてPart4では30問の説明文問題が出題されます。

Part2は質問に対して解答を選択するものですが、Part3とPart4はナレーションや簡単な会話を聞いて解答を選択するという問題が一般的です。ただし、あらかじめ用意された図などをもとに解答を求めるタイプもあります。一方、リーディングは問題がすべて印刷されており、自分で読みながら進めていきます。

Part5は30問の短文穴埋め問題で、Part6は16問の長文穴埋め問題です。Part5とPart6は文章の長さが違うというだけで、いずれも文章の抜けた部分に入れる解答を選択し、完成させていくという点が共通しています。

そして、Part7では一つの文書で29問、複数の文書で25問出題されます。Part7は解答を選択する以外に、文章に新たな文を追加する適切な箇所を選ぶという問題が出されることもあり、やや難しい問題といえるでしょう。

「Listening & Reading Test」のスコアは最高990点です。990点の内訳は、リスニングとリーディングがそれぞれ495点満点です。

「Listening & Reading Test」は、2月と8月を除いて年間10回実施されています。受験会場は全国の約80都市で、詳細はTOEICの公式サイトで確認できます。また、現行の「Listening & Reading Test」は、2016年5月29日以降に一部の内容に変更が加えられた新形式と呼ばれているものです。そのため、変更前に受験している人は旧形式の感覚で受験することのないよう注意しましょう。学校や職場など団体での受験に対応したIPテストについても2017年4月から新形式に変わっています。

「Speaking & Writing Tests」の出題形式

「Speaking & Writing Tests」は、スピーキングとライティングがそれぞれ0〜200点のスコアで評価されるテストです。制限時間は1時間20分で、スピーキングが20分、ライティングが60分という内訳になっています。ただし、団体受験制度のIPテストであれば、スピーキングとライティングのいずれか片方だけのテストを受験することも可能です。

「Speaking & Writing Tests」の出題形式に用いられるのはパソコンとヘッドセットで、マークシート方式ではありません。主題されるのは全部で19問と「Listening & Reading Test」に比べると少ないのが特徴的です。問題は、スピーキングが11問、ライティングが8問で構成されています。

スピーキングは、20分間で「音読問題」と「写真描写問題」、「応答問題」など全部で8種類のカテゴリーに分けて出題されます。もっとも問題数が多いカテゴリーでも3問ほどですが、回答時間は1問に対して長くても60秒程度しかありません。
具体的な問題の例としては、インタビュー形式で解答を出していくケースやテーマに対して提案を求められるケースなどが多く、自分の考えを伝えることが中心です。時間も短いうえに難易度が高いテストといえるでしょう。

一方、ライティングはスピーキングに比べて解答時間には余裕があります。カテゴリーも「写真描写問題」に「Eメール作成問題」、「意見を記述する問題」の3つで、全部で8問出題されます。制限時間は短いものでも5問で8分なので余裕を持って解答できるでしょう。「意見を記述する問題」では制限時間が30分と長めに設定されています。

「Speaking & Writing Tests」の実施は1年のうちで24回です。毎月1回は実施されており、土曜日か日曜日の午前と午後にそれぞれ1回で設定されています。休日なので、学生や会社員でも受験しやすく、毎月なので予定を組みやすいでしょう。試験会場は主要都市が中心ですが、居住地に近い場所での受験が可能です。詳しい情報については、TOEICの公式サイトで確認できます。

TOEICの過去問や過去問題集の入手方法

TOEICを受験するにあたって、どのような過去問が出題されているのか気になる人は多いのではないでしょうか。通常、資格受験などさまざまなテストを受ける際、公式サイトで過去問が公開されていることが多く、それをもとに勉強を進めていくことができます。受験に備えて過去問が公開されているだけでなく、過去問題集が販売されているなど何らかの形で過去問の情報を入手しやすいのが一般的です。

しかし、TOEICの場合は過去問は一切公開されていないうえに配布もされていません。また、過去問題集についても販売されていないため、実際に入手することは不可能な状況です。つまり、実際に出題された問題の入手方法は存在していません。

一方で、過去に出題された問題とは別に、TOEICから出版されている公式問題集があります。そのため、TOEICの受験に備えて勉強をするには、公式問題集を入手する方法があります。しかし、本番の試験では、公式問題集の中から全く同じ試験問題が出題されるわけではなく、必ずしも効率的な勉強方法とは言えない面もあります。

もし、留学や就職などを目指すうえでTOEICを受験するなら、できるだけ高いスコアを取っておきたいと考える人は多いでしょう。実際に、多くの企業が採用条件や昇給条件としてスコアの目安を設けているケースもあります。

スコアの目安としては、例えば、学生が就職活動を目的に受験するなら600点以上が望ましいといわれています。もちろん、TOEICは、社会人になってから受験しても決して遅くはありません。昇格や海外赴任を視野に入れて受験する人もたくさん存在します。転職や昇格などの場合は700点以上、海外赴任であれば850点以上が理想的な目安と考えておきましょう。

TOEICは試験によって合否を決めるものではなく、得点に応じて評価されるテストです。このため、TOEICでできるだけ高得点を取るには、どのような問題が出やすいのか特徴を掴むことがポイントです。そのために、本来は過去問を把握しておくことが得策ですが、過去問も公開されておらず過去問題集も購入できないTOEICの場合は、出題されやすい問題の傾向を探っていくことが最も効率的なアプローチ方法となります。

TOEICの模試は受けられるのか?

TOEICには受験回数の制限は設けられていないため、基本的には何回受験しても問題はありません。しかし、そのたびに受験料が発生しますし、会場が遠い場合にはその分時間を取らなければなりません。やみくもに何度も本番の試験を受けるよりも、模擬試験を徹底的に練習し、スコアを上げていく方が効率的でしょう。TOEICの過去問題集はありませんが、公式の問題集を参考にした練習問題は出版されています。練習問題は書籍として出されているタイプもありますし、Web上で受けられるタイプなどさまざまです。

もちろん、練習問題を手に入れるのにも費用はかかります。しかし、受験費用より安く抑えられるため、じっくり力をつけていけるというメリットがあります。また、Webで可能な模試・練習問題であれば、会場まで足を運ぶ必要もありません。過去問から直接作られた練習問題はどこからも出ていませんが、実際に出される問題に近い練習問題であれば、十分スコアを伸ばしていけるでしょう。実際のTOEICテストを何度も受験するより、模擬試験として練習問題を何度も受けて少しずつ得点を上げ、十分自信がついた時点で本番のテストに臨むのが理想です。

練習問題の多くは、TOEICの公式問題集を参考に作られています。しかし、TOEICでできるだけ満点に近いスコアを取るには、過去問に近い問題集を徹底して勉強することがポイントです。TOEICの問題集にはさまざまなものが出ていますが、おすすめは、過去問を分析して作られた精度の高い問題集がよいでしょう。確かに、TOEICは受験回数の制限はありません。個人で何度か受験し、傾向を探っていくという方法もあります。しかし、TOEICのテストは年に何度も実施されているため、実際に受験して傾向を探っていくのはなかなか難しいものです。

TOEICの受験に備えるなら、過去数年分の本番テストをデータ化して作成された問題集を使ってみましょう。実際に出題されるかどうかわからない問題集よりも、徹底分析された問題集ならスコアを伸ばしていくことは可能ですし、おすすめです。

TOEICの問題集をやりこむ意義は?

TOEICで高得点を取るために有効な方法とは、どのような問題が出題されるか傾向を把握しておくことです。そして、慌てずに落ち着いてテストに臨む姿勢も忘れてはいけません。はじめてTOEICの試験を受けると、時間制限が気になって慌ててしまう人は多いものです。

特に「Speaking & Writing Tests」のように秒単位で制限されている問題を解く場合には、冷静な判断が必要になります。例えば、明確に答えがわかる問題から先に記入しておくという方法があります。しかし、実際には慌ててしまい、時間配分が上手にできない人も少なくありません。

このような失敗を防ぐうえでも、まず問題に慣れておくことが重要なのです。そのためには、同じ問題を繰り返し解いていきましょう。こうすることで問題の傾向が把握できるようになります。

また、TOEICにはひっかけ問題が出題されることがあります。例えば、写真を使用した問題などに出ることが多いともいわれますが、実際にはどこで出題されるかはわかりません。練習試験を何度も受けたり、TOEICの公式問題集をやりこんでおいたりすることで、どのようなひっかけ問題があるのかも掴めるようになるでしょう。このように、テスト問題の癖や傾向を掴むためにも、同じ問題を繰り返し解いてやりこむことに意義があるのです。

TOEICの問題集は書籍がよいかWebがよいか

TOEICの練習問題は書籍化されているタイプやWebで可能なタイプがあります。書籍の場合は、回答するのに筆記用具が必要だったり、かさばって持ち運ぶのが不便だったりします。他方でWebの練習問題の場合、スマホから利用することができれば、移動中やトレイなどのスキマ時間にも勉強することが可能です。

また、書籍の場合は、沢山の練習問題を解こうとすると、TOEICの最初のパートから最後のパートまで揃っている問題集を何冊も書籍を買うことになり、自分が集中的にトレーニングしたいパートだけを勉強することができません。

したがって、オンラインのTOEICの練習問題を利用する場合は、大量の問題が収録されていること、自分が勉強したいパートだけを勉強できるサービスを選ぶようにしましょう。

ちなみに、書籍のTOEICの練習問題は、原則は独学で勉強するしかありません。もし、周りにTOEICに詳しい人や英語が得意な人がいれば、その人に聞くことはできますが、分からないことがあるたびに、何度も何度も聞くことは難しいでしょう。オンラインのTOEICの練習問題サービスの中には、分からない部分についての質問を受け付けてくれるサービスがあります。もし、オンラインでのTOEICの練習問題サービスを利用する場合は、不明点について質問するこができるサービスが望ましいです。

TOEIC練習問題を活用した勉強法

TOEIC® is a registered trademark of Educational Testing Service (ETS).

©Weblio